休業損害の算定に際しては,事業専従者給与はどう取り扱うの?
名古屋市熱田区で発生した交通事故
名古屋市在住のFさんは,名古屋市熱田区の路上で,信号待ちをしている中追突されるという交通事故に遭ってしまいました。
Fさんは,上記交通事故により,傷害を負ってしまい,通院を余儀なくされました。
Fさんは,個人事業主だったのですが,通院により,仕事を休まねばならなかったので,その分の休業損害を請求しようとしています。
Fさんは,休業損害は,確定申告書に従って算定されると聞きましたが,事業専従者給与については,どう取り扱われるのか分かりませんでしたので,弁護士事務所の無料法律相談に行きました。
事業所得者の休業損害の算定方法
事業所得者の休業損害は,基本的には,得られたはずの売上額から,これを得るために必要としたはずの原価と経費を差し引いたものを基礎に算定されます。
そして,売上額等は,原則として,交通事故前年の所得税確定申告書類に記載された金額によって認定されることになります。
事業専従者給与の取り扱い
事業所得者の休業損害の算定における,事業専従者給与の取り扱いについては,その処理方法は確定していません。
裁判例の中には,申告所得額に,その事業専従者給与額を加えたものを,交通事故前の年収として,休業損害の算定をしているものもあります。
他方,事業専従者が実際に労務の提供をしている場合には,その者への給与はまさに経費なので,事業所得者本人の所得に含めることはできないという見解もあります。
実際の算定にあたっては,個々の事案ごとに,実際に労務の提供がなされているか否かによって判断されることになるでしょう。