確定申告をしないと,逸失利益が認められない?
名古屋市中区で発生した交通事故
名古屋市在住のMさんは,名古屋市中区で発生した交通事故によって,後遺障害を負ってしまいました。
Mさんは,後遺障害逸失利益について損害賠償請求しようとしたところ,保険会社は,Mさんは確定申告をしていなかったので,逸失利益は認められないかもしれない旨述べました。
Mさんは,保険会社の説明に納得できなかったので,適切な損害賠償を受けるべく,弁護士事務所の無料相談に行きました。
事業所得者の逸失利益
後遺障害逸失利益は,概ね,「基礎収入(年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間」という計算式によって算出されます。
そして,自営業者や自由業者等の事業所得者の基礎収入(年収)は,原則として,事故の前年度の確定申告所得額によって認定されます。
無申告の場合には逸失利益が認められない?
それでは,前年度確定申告をしていない場合には,基礎収入が認められないため,逸失利益を請求できないのでしょうか。
仮に前年度確定申告をしていなかったとしても,相当の収入があったと認められる場合には,逸失利益が認められる可能性があります。この場合には,平均賃金などが参考に,基礎収入額を算定することになります。
それでは,平均賃金などを参考に基礎収入を算定するのではなく,現実の収入額が基礎収入であると認められる場合はあるのでしょうか。
前年度確定申告をしていなかったとしても,現実の収入状況を立証することができれば,現実の収入額が基礎収入であると認められると思われます。
しかしながら,この場合には,相当確実な立証を求められることになるでしょう。