会社の代表者が死亡した場合,企業損害は認められる?
名古屋市緑区で発生した交通事故
名古屋市在住のUさんは,名古屋市緑区で交通事故に遭い,亡くなってしまいました。
Uさんは,交通事故当時,会社の代表取締役を務めていました。
Uさんが代表取締役を務めていた会社は,Uさんが死亡したことにより会社に生じた損害について,企業損害として加害者に請求したいと考え,弁護士事務所の無料相談に行きました。
企業損害の問題とは
企業の役員や従業員が交通事故によって死傷したことが原因で,企業が,それらの者が死傷しなかったならば取得しえた利益を取得できなくなる場合があります。
この場合に,事故被害者本人や遺族からの損害賠償とは別に,企業が,企業の収益減少を損害として請求できるか否かが問題となります。
これが,企業損害の問題です。
企業損害が認められる場合があります。
裁判例の中には,
- 不法行為者の損害賠償義務は,第三者に生じた損害についてまでは及ばないとするのが原則である。
- しかしながら,第三者が法人とは名ばかりの,いわゆる個人会社であり,直接の被害者以外には当該会社の機関としての代替性がなく,直接の被害者と会社とが経済的に一体をなすような関係にあるような,極めて小規模な個人会社で,被害者と会社と財布が一つといえるような場合には,この会社に生じた損害賠償請求を例外として認めるべきである。
旨判断したものがあります。
この裁判例が示すように,企業と社員との間に経済的同一体の関係が成立するか,又は両社の間に財布共通の原則がある場合には,会社に生じた損害が認められる可能性があります。