無職者の場合,基礎収入はどう算定する?
名古屋市守山区で発生した交通事故
名古屋市在住のUさんは,名古屋市守山区で発生した交通事故によって,後遺障害を負ってしまいました。
Uさんは,会社が倒産して失業中であったものの,就職活動中であり,まさに内定が出そうであった矢先に,交通事故に遭ってしまいました。
Uさんは,交通事故による損害賠償として,後遺障害逸失利益を請求したところ,保険会社は,失業中であれば,逸失利益は認められない旨回答しました。
Uさんは,保険会社の説明に納得できなかったため,弁護士事務所の無料相談に行きました。
失業者にも逸失利益は認められる可能性があります。
前回のコラムと同じ事例です。
前回のコラムでは,失業者にも逸失利益が認められる可能性があると説明しました。
それでは,具体的に,逸失利益算定において,基礎収入はどのように考えられているのでしょうか。
失業者には交通事故時の年収というものがありませんので,どれだけの基礎収入が認定されるのか問題となります。
失業者の基礎収入の算定方法
失業者といっても事情は様々です。
就職が内定していた場合には,予定されていた収入が基礎収入と認定される可能性もあります。
就職が内定していなかった場合には,事故時の年齢,学歴,健康状態,失業前の収入,職種,稼働期間,失業した理由,失業期間,就職活動の現状等,被害者の具体的な事情をもとに,認定されることになります。
しかしながら,新しい就職先が決まっていない失業者の場合,失業前の収入を超える基礎収入が認められることは,一般的には難しいとされています。
無職者の基礎収入算定における運用指針
失業者を含む無職者の基礎収入の認定については,東京,大阪,名古屋の各地方裁判所交通専門部により,運用指針が示されています。
概要は,
・幼児,学生の場合には,原則として全年齢平均賃金とする。全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められない特段の事情がある場合には,年齢別平均賃金又は学歴別平均賃金も考慮する。大学生等の場合には,学歴別平均賃金も考慮する。
・幼児や学生以外の無職者については,原則として年齢別平均賃金による。
・失業者については,再就職によって得ることができると認められる収入額による。
・30歳未満の者については,失業前の実収入額が相当に低額であっても,生涯を通じて全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合には,全年齢平均賃金による。失業前の実収入額と全年齢平均賃金の乖離が大きく,全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められない場合には,年齢別平均賃金又は学歴別平均賃金も検討する。
というものです。
失業者の基礎収入の算定にあたっては,上記運用指針が参考となるでしょう。