新車への買い替えは認められない?
名古屋市北区で発生した交通事故
名古屋市在住のZさんは,名古屋市北区で発生した交通事故によって,車に損傷を負ってしまいました。
Zさんは,新車を購入したばかりだったので,交通事故による損害賠償として,新車への買い替えを求めたところ,保険会社は,新車への買い替えは認められない旨回答しました。
Zさんは,買ったばかりの車が損傷したにもかかわらず,新車への買い替えが認められないことに納得できず,弁護士事務所の無料相談に行きました。
実務では,明確に定まっておりません。
前提として,中古車が交通事故の被害車となった場合には,新車への買い替えは認められず,中古車市場における再調達価格が損害となります。
それでは,新車が交通事故の被害車となった場合には,新車への買い替えは認められるのでしょうか。
確かに,被害車が買ったばかりの車であり,中古車市場で取得できないときには,原状回復のためには新車を買い替えるしかないとも思えます。
しかしながら,買ったばかりであっても,ひとたびナンバープレートがついてしまえば,車両価格が下落するともいわれています。
難しい問題であり,この点の取り扱いについては,実務でも明確には定まってはいません。
新車の買い替えは,原則としては認められません。
裁判例の中には,登録後まもなく,ほとんど走行距離がない場合に,新車の買い替えを認めたものもあります。
しかしながら,裁判例のほとんどは,新車への買い替えを認めないようです。
例えば,新車を購入し,その引渡しを受けた直後に交通事故に遭った事例では,「事故により損傷した被害車が,店舗内に陳列中であったり,車両運搬車で運搬中であったりする等完全な新車の状態であった場合であれば格別,既に,一般の車両と同様に公道において通常の運転利用に供されている状態であった以上,新車の買替えを肯認すべき特段の事情とまではいえ」ないと判示した裁判例もあります。
裁判例が摘示するような特別な事情がない場合に,新車の買い替えを求める場合には,かなり説得的な主張が必要とされるでしょう。